ジュエリーボックス
「ねえ、こっちの世界の私はどんな感じ?」
やっぱり気になる、自分の事。間髪入れずに、変な奴だよ、と返ってきた。
お前程じゃないけどな、と続けられた言葉に顔をしかめる。
「ちょっと、どういう意味」
「地球外生命体」
…あ、肩を震わせて笑う癖は同じだ。変なところを観察してしまう。よく見ると、目の前のコイツも"頼人"なんだなって感じた。
性格も雰囲気も違うけど…様子を見ていると、"普段のアイツ"の要素を感じる。なんだか、懐かしい。そう思ってしまう。
…ここが『反地球』っていうのはまだ信じられないけど。
眠い、と呟いた頼人が身体を寄せてきたと思ったら、私の膝の上に頭を乗せてきた。
…いわゆる、膝枕。
勝手に何してんの、と抗議をしても、飄々と返される。
「…チャイムが鳴ったら起こして」
「は…?ちょっと、私こういう趣味ないんだけど!起きろ!」
「無理。おやすみ」
私の膝に頭を乗せたまま目を閉じてしまった。…身勝手な子供がここに。
盛大な溜め息を吐いて、項垂れる。
(…昔も、よくこうやってコイツの膝枕したっけ)
思考を巡らせて、ふと思う。
…膝枕、なんて、した覚えもないのに。
どうしてそんな事を思ったのか、自分がよく解らなくなっていた。
(私、以前にも"この場所"に来た事が…ある…?)
記憶が曖昧。…私は、世界に惑わされている気がする。軽く首を振って、思考を糺す。
もう、なるようにしかならない。私の唯一の長所は、度胸だ。
開き直って、静かに息を吐く。