ジュエリーボックス


「…うっわ、こっちの世界の美月って性格最悪なんだな」


声のした方を見ると、悠介と頼人。…不良じゃない方の頼人は、私と同じく美月を見て呆気に取られてる。

…ショックだろうな、コイツも。

いや、でも頼人からしたらどんな美月でも好きなのかもしれないけど。


「頼人が二人見れるなんて嬉しい、得した気分」

「さっさと出てけよ、お前と話す事なんてねぇ」


俯いて少し寂しそうに笑った美月は扉に向かって歩き、出て行った。

…出て行く前に、私の耳元で、あなたは味方がいっぱいいていいね、と耳打ちをして。


「…なんだアイツ。俺らの世界の美月と違い過ぎて俺も嫌いになりそうなんだけど。な、頼人」

「あー…でも、なんか寂しそうな顔してたな、あの美月」


…私もそう思った。本当は頼人に会いたくてここに来ただけなんじゃないのかな。

やっぱり、美月、頼人の事が好きなんだ。想いが、きっと凄く深い。


「ったく、お前逹は甘すぎ。いつか痛い目見ても知らねぇぞ」

「…眼留の事敵にしてるからな、あんな女と付き合ってた俺が馬鹿だった」


悠介と頼人が口々に言う中、私はふと考える。…そういえば。


「ねえ、この世界の私は今教室にいるんだよね?」


訊ねた瞬間、三人の表情が気まずそうなものに変わる。



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