ジュエリーボックス
…胸騒ぎがする。
この世界は、私が帰るべき場所で正しいのだろうか、私が在るのは此処でいい──…?
自問自答をする中で、頼人と美月が笑い合って話をしているのが気に掛かった。
悠介もそれに混じって茶々を入れている。
反地球の事なんて頭にない、と物語っているように。
(…今まで疎外感を感じた事なんて、一度もなかったのに)
ざわついた気持ちと速まる厭な動悸。
…さっきまで一緒にいた悠介と頼人は何処に行ってしまったのだろう?
(私の悪い夢だったなら一番いいんだけど…)
無意識に上着のポケットを探ると、何か固い感触に当たった。
コーラ味の粒ガムだった。
「…!」
保健室でガムを貰った瞬間がフラッシュバックする。
この世界ではない、別の世界。
そして、思い出した。
"反地球"について教えてくれた人物の事を。
(…そうだ、戸野先輩に聞けば解るはず!)
今、唯一の頼れる人だと思った。
善は急げ。
私は席を立って、三年生の教室へと急いだ。