ジュエリーボックス
「─…っ、また…あの夢」
あれから、数日。
"あの日の夢"ばかり視る。
夜に寝不足だから、学校でうたた寝をしてしまう事も増えた。
休み時間も、今までは一緒にいた美月達がなんだかよそよそしく思えてきて、疲れてるから、とひとりでいる事も多くなってきた。
私以外誰一人覚えていない世界の事を考えているなんて、頭がおかしくなったのかもしれない、と思う。
反地球なんてなかった、って思えばそれでいい。
悠介も頼人も、なんだか遠い存在に思えた。
そう思って机の上に伏せる。
少しぐらつく視界。
この感覚、何処かで──…と考えた時にはもう遅かった。
教室にいた私は、次の瞬間に何故か自分の部屋にいた。
背筋が一気に寒くなり、私は何度かまばたきを繰り返した。
…寒い。
制服のまま、ベッドに座り込む自分がいる。
「…な、に…私、…」
吐く息が、冷たい。
身体ががたがたと震える。
窓辺から射し込む夕焼けの燈色。
(今の気温、何度だろう…?)
剰りの寒さに身を縮めていると、人の気配がした。
「お前、そんな薄着でなにしてんだよ…!」
目の前には、悠介。
いつの間に入って来たのだろう。
がちがちと歯を鳴らす私の側に駆け寄り、自分の着ていたコートを身体に掛けてくれた。