ジュエリーボックス
次の瞬間、ふわり、となにかが私を包む。
それが悠介の腕の中だと気づくと、少し身体が強張る。
安心させるように背中を擦られた後、芯を持つ言葉で告げられた台詞。
「俺、眼留が好きだ。ただの幼なじみなんて、一回も見た事ない」
急な告白に、驚いた。
未来の悠介は変わらない笑顔で、お前の気持ちは知ってるけどな、と言った。
その意味は、きっと私の気持ちを見抜いている故で。
悠介は、こういう時も優しい。
『悪いけど俺も"この"眼留が好きだから』
別の世界で聞いた悠介の台詞を思い返す。
あの時の彼と、今目の前にいる彼は同じなのだろうか、違うのだろうか。
悠介が口元を上げて、してやったりという顔を見せる。
「今日は返事聞くまで離さねぇから」
力を込めて抱き締められる。
今まで意識した事なんてなかった。
やわらかい柔軟剤の匂いが心地好く思えてくる。
ドキドキするというよりも、家族といる時のような安堵感。
「…いい匂い」
安心したら眠くなって来た。
思わず、悠介の腕の中でうとうとしてしまう。
"あいつの夢"ばかり視て、よく眠れなかったから。