ジュエリーボックス
「お邪魔ー!」
「いって!扉に足ぶつけたし!」
「馬鹿だなー頼人は」
"チーム宇宙"が集結すると、一気に部屋の密度も空気も濃くなる。
他の家でもいいのに、集まるのは大体いつも私の家。
美月が「落ち着く」って言う室内は、白黒の市松柄のカーペットに、青いカーテン。
自分の趣味だけど、我ながら男の子の部屋みたいだと思う。
「なぁ、数学見して!俺明日当たるんだよ」
「あ、私も!」
「…お願いします頼人様って言ったら教えちゃる」
数学が得意な頼人に、体育が得意な美月と悠介。
私は平均的で特に得意なものもないし、取り柄もないけど…。
(こいつらに、結構助けられて生きてるよなぁ私…)
この三人がいなかったら私はどうやって人生を過ごしていただろう、と考えると、剰り楽しくなさそうな気がする。
…いや、絶対楽しくない。
一緒にいて、良いところも悪いところもお互いに痛い程解ってる。
上辺だけじゃなく、もう何層にもなっている信頼は、年月の分だけ重なっているから。