ジュエリーボックス


紙パックのジュースやらポッキーやらのお菓子を持ち込んで、まるで小学生の井戸端会議。お互いの親も公認の仲の私逹。

…本当に私達、子供の時のままだなぁと思う。

でもそれが何よりも嬉しく思う。変わらない四人の空間は、温かいから。


「ねー、あたし生徒会に誘われてるんだけど…」

「美月が?」

「うん…戸野先輩に勧誘されちゃって」

「え、戸野先輩って三年の…あのすっごい人気ある人でしょ?」

「そう、話した事もないのに"美月ちゃん"とか名前で呼ばれちゃって…あたし、ああいう人ちょっと苦手かも」

「へー…そんな人なんだ、戸野先輩って良い噂しか聞かなかったから意外だな」


美月から聞いた、私逹の通う城空(せいくう)高校の三年、戸野晴生(との はるき)先輩の話題。

(イケメンなのに凄く良い性格で後輩からも慕われてるって評判聞いてたのに…ちょっと残念)

戸野先輩といえば、校内に知らない人はいない程の有名人。確か中学の時からナントカっていうバンドのギターを弾いていて…って、クラスの子から聞いた。


「ケッ、イケメンの話題になると目の色変えやがって。どうせ俺は」

「いちごオレ飲みながら毒づかれてもな…お前はお笑い路線だから。元気出せよ」


悠介に肩を叩かれた頼人は、うっせー、と毒づいてストローを噛んだ。



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