シークレット・ガーデン


「もお…この頃、理亜は、何にでも手を伸ばすのよ。
昼間ね、ショッピングモールのハンバーガー屋でも事件が起きたんだ。

理亜を前抱っこして、メールを打っていたら、何時の間にか目覚めてて。
あっと思った時には理亜の手が伸びてて、
テーブルに置いたココアの紙コップを触ってひっくり返しちゃったの!
もう、トレイの中のハンバーガーとポテトがココアびたし…

ココアが冷めてて、火傷にならなくて良かったんだけど………
本当に油断出来ないんだから…」



真彩がこぼすのに、母は理亜に向かって目を細め、「おてんばさんねえ」と祖母馬鹿ぶりをみせる。


「…で、貴文、何やらかしたの?」


「それがね…」


現実に戻り、母は眉を顰めた。


母の話では、貴文は友人とスポーツバーを開きたいと、父に金銭の援助を頼んできたという。

それが、元々、水商売を嫌う父の逆鱗に触れてしまった。





< 108 / 216 >

この作品をシェア

pagetop