シークレット・ガーデン
「あら、司君じゃない⁈
えっ?なんで?あなた達、待ち合わせしてたの?」
優美子が真彩と司の間に割り込んできて、驚きの声をあげた。
真彩は、両手をひらひらと振った。
「まさかあ!本当に偶然なの!」
「優美子さん。お久しぶりです」
司が優美子に笑いかけた。
「ねね、司、優美子ね、去年の11月に結婚したのよ。
新婚旅行のハワイから帰ってきたばかり。全然彼氏出来ない〜とかボヤいてたくせに、いきなりよ!
お相手は2歳年下なの。あ、司と同い年じゃない!」
はしゃいで言う真彩に、優美子が少し赤くなって、「もういいってば」と軽く肘で突ついた。
「そうだったんですか。優美子さん、
おめでとうございます」
司は如才なく言い、少し角度を付けてお辞儀をした。
大きな身体がすっと前に倒れる。
真彩は、素早く彼の手をチェックした。
しなやかで長い指が、少し骨ばっていることに気付く。
そして、左手薬指には何もなかった。
(良かった…)
なぜか安堵してしまう自分に、真彩は苦笑した。
既婚者でもしない人はたくさんいるし、
自分はといえば、プラチナのリングがしっかりはまっているというのに。
そして、それは、真彩の身体の一部になっていた。