シークレット・ガーデン


「もう、いいってば〜
押されたから転んだんじゃなくて、私が砂につんのめったんだってば!

それよかレンタカー砂だらけにしちゃったね。返す時、大変」


司がコンビニで買ってくれたフェイスタオルを使いながら、真彩は笑顔で言う。
温かいホットレモンも買ってくれた。


「車なんてどうでもいいよ。
とりあえず、ホテルに戻ろう。

俺の部屋で服やブーツを乾かして、シャワー浴びたほうがいい…
そのままじゃとても帰れないよ」


「うん。ごめん。ちょっとだけ寄らせてね」



お酒を飲んでいるわけでもないのに、全身がフワフワしていた。


海水に濡れてしまった黒いタイツとベージュのスプリング・ブーツは脱いで裸足だし、身体にまとわり付くブラウスや膝丈のフレアスカートも不快なはずなのに。


司が車の暖房を強くして、真彩の身体が冷えないようにしてくれた。


幸いだったのは、司がすぐに海から救い出してくれたおかげで、下着までは浸水しなかったことだ。


波しぶきに顔を洗われた途端、真彩はなぜか可笑しくてたまらなくなったのだ。




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