シークレット・ガーデン
いつか、八重干瀬(やびじ)で
2台のベッドが並ぶ、ホテルの部屋。
シチュエーションとしたらとても危険なのに、今の方が全然気楽なのが不思議だった。
その気になれば、余計な手順は不要なのに……
ピンポーン……
呼び鈴がなり、司が缶ビールを2本手にして戻ってきた。
窓際にある応接セットの丸テーブルを軽々と持ち上げ、ベッドの間に置いた。
「少しならいいだろ?もうじき、渚も戻ってくるよ。
さっきもうすぐホテルに着くってメール着たから…あと15分くらいかなあ」
そう言って水滴の付いたビールを真彩に手渡した後、自分も向かいのベッドに腰を下ろした。
そして、おもむろにヘッドボードにあるコンセントに、ドライヤーを繋ぎ、組んだ長い足の上に真彩のブーツを置く。
ビールを飲みながら、乾かすつもりらしかった。