シークレット・ガーデン
「良かった。渚ちゃんに逢えるなんて…嬉しいな。海で転んで良かったかも!
元気な顔を見てから帰ろうっと」
そう言ったあと、真彩はハッとした。
渚と逢えるのは、思いがけないことで、すごく嬉しかった。
「…でも、今の格好だと誤解されちゃうかな?
私、こんな格好だし、なんかエッチが済んだ後みたい……」
真彩はベッドに腰掛けたまま、ぶかぶかのTシャツの裾を両手で引っ張ってみせた。
「……えっ?」
真彩の言葉に、度肝を抜かれたように司は固まった。
ドライヤーを止め、無言で真彩を見つめる。
何か言いたそうだったけれど、すぐに目を伏せ、ブオーというドライヤーの音を轟かせる作業に戻った。
ーーーヤバヤバ、
変なこと言っちゃった……
気まずい思いがして、真彩は話題を変えることにした。
「それにしてもお、
渚ちゃんに逢うんだったら何かプレゼント用意しておけばよかったなあ……
もうショップは閉まっちゃったし。
優美子のハワイ土産あげるわけにもいかないしなあ」
「そんな、気を遣わなくていいって」
司が身体を前に倒してハハッと笑った。
昔と変わらない癖だ。