シークレット・ガーデン


「渚、知り合いとディズニーランドに行ってるって、俺、いったけど…」


司は言い淀んだ。


「うん……それがどうかしたの?」



「知り合いっていうか……実は前の奥さんと一緒なんだよ。
つまり、渚の生みの母……


今は、再婚相手とアメリカに住んでるんだけど……
久しぶりに一時帰国することになったから、渚と2人きりで逢わせてくれないかって、連絡があってさ。

渚が2才の時、別れてから1度も会ってなかったんだぜ?

子供がいたら、相手に棄てられる。
もう子供を生んだことは忘れるって、そこまで言って渚より男と芝居を選んだのに。

今更なんだよって、ムカついたけど……母親には間違いないから…」


司はふう、と溜め息を吐いた。


「迷ったけど、俺が出した解決策は、渚のママとは明かさずに、俺の友人、つまり血縁関係も何もない人間として、渚の前に現れること……

ただの子供好きの知人として渚と接して欲しい。それならいい……」



司は形の良い濃い眉を歪めた。





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