シークレット・ガーデン



ーーー今日と決めていた。


タイミングを見て、光俊に告げるつもりだった。


白いカトレアは、砂川司の宮古島から贈り物で今日、届いたばかりだ。


真彩へのお祝いの印に。


司は我が事のように喜んでくれた。



カトレアの送り元『スナガワ・オーキッド』を立ち上げたのは、32歳若社長、砂川司だ。


司は叔父が趣味でやっていた蘭の栽培を、インターネットで販売ルートに乗せた。


高級感があり、長持ちすると評判の蘭は、予約待ちするほどの人気だ。


司自身も園芸を勉強し、砂川フルーツ・パークを訪れる観光客に植物の説明をしたり、楽しませるアイディアを出して、日々研究しているという。


今では何人かの従業員も雇い、事業拡大に向け、精力的に活動している司の様子は、フェイスブックでも知る事が出来た。



真彩は、どちらかというと社交的な性格だけれど、知らない人に接する時は、それなりに緊張するし、育児に煮詰まってしまう時もある。


もやもやした時、インターネットにつなげば見たい時いつでも司の顔を見れるというのは、転勤族の妻、真彩にはとても心強かった。


もちろん、あれから一度も会っていないけれど、メールはたまにしていた。






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