シークレット・ガーデン


熱い湯が、流産の原因だなんてことがあるわけがない。そんなことは分かっているーーー


真彩はただ、何かのせいにして、自分を慰めたかっただけなのに。


しょげる光俊の姿に、自分の不用意な発言をとても後悔した。



ーーそんな時も司が
『時が解決してくれるよー』とメールで慰めてくれたっけ……


理亜のあどけない寝顔を見ながら、真彩は思い出す。


光俊が第二子の妊娠に、ナーバスになっているのは間違いない。


検査薬を使ってから、2週間が経つ。



真彩には、確信があった。

お腹の子は順調に育っている……

大丈夫だ。
あなたは強い子だ。


今度はママのお腹の中に、このまましがみ付いていてね…お顔見せてね……
いい子だから……



真彩は慈しむように腹を撫でた。



着替えを取り出し、タンスの引き出しを閉めた時。


男の腕が真彩の身体を後ろから抱きしめた。


「なあに、光俊……ご飯食べ終わったの?」


真彩は、肩越しに言う。


「飯なんてあとでいい…真彩がほしい。後ろ姿見てたら、なんだかムラムラしちゃって。
濃くするためにずっと我慢していたんだから……」



濃くって………


相変わらずのムードのなさに真彩は思わずぷっと吹き出してしまう。


「分かってる…光俊。でも、ごめん。
今夜はちょっと出来ないかも……」


「えっ?」


光俊の声色が急に変わった。

回していた腕をパッとほどいた。





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