シークレット・ガーデン
『もう、めっちゃくちゃ!いい人なんだよね。
俺が残業の時なんか、渚に飯食わせてくれた上に風呂にもいれてくれるの。

さらに余ったから夕飯にして、とか言っておかずまで分けてくれたり。

渚が中耳炎になった時は、旦那さんが車運転して、病院まで連れて行ってくれたし。
マジ、本当の親みてぇ。助かるよ』


すご~い、いい人だねえ!と電話口で感心して見せながら、真彩は思う。


(そのベビーシッターのおばさんは、司みたいな爽やかイケメンが好みのタイプで、単純に司の笑顔が見たいんだよ…
韓流大好き、みたいな)



[真彩、旦那さん、
まだ帰ってきてない?
今、電話出来ない?]



少し前に、司がそんなメールを寄越してから、時々電話で話すようになっていた。



(…え?電話?)


都内にある会社に勤める光俊は早くても午後8時にならないと帰って来ない。


その日は、雨降りで一日理亜と家で過ごしていた。
なんとなく、悶々としていた真彩は嬉しさに心が踊った。



[少しなら、大丈夫!
理亜も寝てるし。
電話してくれる?^ ^]


ニコニコマーク付きのメールを返信した数分後、真彩のスマホが電話の着信音を立てた。



『…真彩。久しぶりだね。
やっぱり電話の方がいいね…』


司の声を聞き、真彩は懐かしくて、感動してしまった。

「本当にそうね…」と
答えた後、ちょっと涙ぐんでしまう。


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