シークレット・ガーデン
今、司のことを考えてはダメだ……
隣に光俊がいる。
「ねえ!見て!
鯉があんなにたくさんいる!」
真彩は大声ではしゃぐように言い、池の向こうを指差す。
初老の男性がパン屑を池に撒き、黒や赤と白のまだら模様の大きな鯉を集めていた。
わざと大きな声を出したのは、司を振り払う為だった。
光俊に他の男の存在を気付かれてしまう気がしてしまった。
…心の中など見えるわけないのに。