シークレット・ガーデン
思いがけない再会


「…会社で何かあったの?」


真彩は訊いた。


「うん…よくわかるね。実はそう…」


光俊はわかりやすい、と真彩は思う。

心配事があると、ぼんやりする癖があった。




「何があったの?話して」


真彩が耳元で囁くと、光俊は顔を上に向けたまま話し始めた。


「…俺自身も動揺してるから、もう少し落ち着いてから、話そうと思ってたんだけどね…
今日の午後、部長に呼ばれてさ、
打診されたんだ。
今年の10月から、札幌支店に行ってくれないかって。転勤だよ」


「えっ…札幌…?」


真彩は溜息のように呟いた。


札幌には旅行で行ったことがある。

5年ほど前、会社の夏休みを利用して、優美子と札幌や小樽、積丹半島をレンタカーを借りて交代で運転して巡った。


だから、北海道が素晴らしいところだと、知っている。

でも、住むとなると話は別だ。
雪だってたくさん降る。


「向こうの事業所を拡張するに当たってさ、実績のあるシステムエンジニアが要るらしい。

いずれは現地で人を採用するから、そしたら、こっちに戻れる。
でも、それが何年後かは今は言えない。

子供が生まれたばかりで、大変だろうけど、奥さんとよく話し合ってくれってさ…」









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