イケメンルーキーに恋をした
「すごく上手いなぁって思って。あの!! 他に部活入ってるんですか? 入ってなければ、是非、ウチの部に……」
まるで告白してるみたいだなと思いながら早口で言っていると、彼は大きなため息をついて、去って行ってしまった。
「ちょ!! 田尾くん!!」
チビのあたしは人の波に流されそうになり、先輩があたしの体操服の首元を後ろから掴んで止めてくれている。
「行っちゃったか」
先輩があたしの後ろで言い、「う~ん」と何かを考えている様子。
少し人の波が引いた頃、先輩はあたしの首元から手を離し、あたしは乱れた体操服を整えながら先輩を振り返る。
「どうにかして、入部させんとな」
先輩が腕を組む。
「でも、彼あんまりバスケ好きじゃなさそうじゃないですか?」
「え? なんで?」
「だって、試合中も全然やる気なかったし、全く楽しそうに見えなかったんですもん。マネージャーとして、ちょっとショックでした。なんかバスケをバカにされてる感じがして」
あたしが言うと、先輩は「そう?」と首を傾げた。