イケメンルーキーに恋をした
壁に跳ね返ったボールが、行き場もなくコロコロ不安定に転がる。
「おい!! 大丈夫か?」
顧問と体育教官室で話をしていた岩石先輩が騒ぎを聞きつけてすぐに戻って来て、俯くあたしの肩を撫でる。
あたしは唇を噛んで頷いた。
「何があったんだよ」
状況を理解しようと、岩石先輩が部員達に聞く。
「なんか、日野が田尾に指導しようとしたんだけど、田尾が、そんなのわかってるみたいな態度を取ったからアイツ、キレたんだよ」
……田尾くん。
そんな態度取ったの?
それはよくないよ……。
日野先輩は面倒見がよくて、よく後輩の指導をしてくれるのに……。
バスケは誰よりも上手いかもしれないけど、先輩が好意でしてくれることは素直に受け入れなきゃ。
それが部活でしょ?
「あたし、田尾くんを探して来ます」
岩石先輩に言うと、「俺は日野んとこ行くわ」と、あたしに微笑みかけて走って日野先輩の消えた外に走って行く。