イケメンルーキーに恋をした
雲の隙間から弱く差す夕日と、田尾くんの鋭い眼差しが重なる。
それは暗闇で光る猫の目のようで、一瞬たじろぐ。
サッと田尾くんから目を逸らすと、田尾くんはまたシュートを打ち始めた。
「俺、むいてないんすよ。団体行動」
足元に転がって来たボールを取り、またシュートを打つ。
「俺は、やりたいバスケをやりたいだけ」
「…………」
「それを、先輩達はよく思わない」
田尾くんはあたしに背中を向けたまま話し続け、ボールを拾いながら袖で額の汗を拭った
。
「中学の頃からそうでした。俺を理解してくれたのは日高先輩だけ。他はみんな、俺のこと嫌いだったんじゃないすか?」
クルリとゆっくり振り返った田尾くんが、少し口角を上げて小さく笑った。
「だから、まぁ、慣れてるんで。こういうこと」
……慣れてるって。