イケメンルーキーに恋をした


「だから、いちいちミニ先輩が間に入らなくていいっすよ」


「……どういう意味?」


あたしは眉を寄せて聞いた。


すると、田尾くんはあたしの問いに呆れたようにため息をつきハッと笑った。


「小さなミニ先輩が間に入ったってケガするだけでしょ?」


「……っな!?」


後輩から言われた嫌みに、ピクリとこめかみが動く。


田尾くんは悪びれる様子もなくドリブルをして、シュート。


何度も何度もシュートを打って、肩を少し上下させながらあたしを見た。


「心配しなくても、俺、辞めないっすよ。バスケ」


……田尾くん。


「今は弱小だろうが何だろうが、俺が引っ張って行くつもりなんで」


「…………」


「だから先輩は、全力でサポートして下さい」


田尾くんが、ボールをお腹の前で両手で抱え、首を少し横に傾けあたしを見下ろす。




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