イケメンルーキーに恋をした


わからなくて、行動するのが怖い。


自分の役不足が、痛いくらいわかったから。


今のあたしが動いたって、周りが不快感を持つだけ……。


「……ッ!?」


突然、目の前のさおりがあたしのフォークを奪い取り、ずっとフォークで突っついていた卵焼きを刺し、自分の口に持って行った。


「せっかくお母さんの作ってくれたお弁当をそうやって弄んで食べないなら、あたしが全部食べるからね!!」


さおりがあたしを細めた目で睨み、モグモグと口を動かしている。


「あたしなんて今日お母さんが寝坊して、コンビニのサンドウィッチで足りないって言うのに」


ブツブツ文句を言うさおりは、あたしの許可なしにウインナーをも頬張った。


「ちょっと! 人の弁当のおかずを勝手にふたつも食べたんだから文句くらい言いなさいよ」


さおりは静かにあたしのお弁当にフォークを返すと、眉をハの字に曲げ口を尖らせる。




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