イケメンルーキーに恋をした
「いいよ、食べて。あたし、あんま食欲ないし」
あたしは微笑んで、お弁当をさおりへ差し出した。
「ちょっと、あんた大丈夫? あたしマジで足りなくて食べたんじゃないよ? あたしが食べれば、あんたがお弁当を奪い返しに来るんじゃないかと思っ……」
ドンッ……。
急に机に置かれたのは、ふたつのイチゴミルク。
さおりと一緒に見上げると、そこには岩石先輩と田尾くんがいた。
「先輩……それに、田尾くんも」
あたしが目を丸めると、先輩はあたしとさおりを見下ろし優しく口角を上げた。
「それ、俺らからの差し入れ。飲んで」
先輩が、机の上に置いた紙パックのイチゴミルクを顎で指すと、さおりは両手を組んで先輩をうっとり見つめた。
「センッパイ!」
さおりの岩石先輩を見つめる目は、本当に恋する乙女そのもの。