イケメンルーキーに恋をした


「キミの試合見てたけどさ、キミ、本当にすごいね!! バスケうますぎ。俺ビビったもん」


「はぁ……」


田尾くんは全く興味なさそうに相槌を打った。


「あ!! 俺、バスケ部キャプテンの岩石 有希。よろしく」


子犬のように尻尾を振りながら自己紹介をする先輩が3年生に見えず、この3人の中で一番年上なんだよなぁと思うと不思議で仕方なかった。


「は? イワシスキ?」


急に田尾くんは眉間にシワを寄せ、先輩を見上げる。


「変な名前」


フンと鼻で笑いながら言い捨て、スクールバックを肩に提げて椅子から立ち上がる。


「ち、違う!! 岩石 有希!! どうやったらイワシスキって聞こえんだよ!!」


イワシスキ……?


「プッ……」


笑いを堪え切れなくなって、あたしは口元に手を当てて吹きだしてしまった。


イワシスキって……。


確かに聞こえなくもないけど……。



< 14 / 323 >

この作品をシェア

pagetop