イケメンルーキーに恋をした
「キミの試合見てたけどさ、キミ、本当にすごいね!! バスケうますぎ。俺ビビったもん」
「はぁ……」
田尾くんは全く興味なさそうに相槌を打った。
「あ!! 俺、バスケ部キャプテンの岩石 有希。よろしく」
子犬のように尻尾を振りながら自己紹介をする先輩が3年生に見えず、この3人の中で一番年上なんだよなぁと思うと不思議で仕方なかった。
「は? イワシスキ?」
急に田尾くんは眉間にシワを寄せ、先輩を見上げる。
「変な名前」
フンと鼻で笑いながら言い捨て、スクールバックを肩に提げて椅子から立ち上がる。
「ち、違う!! 岩石 有希!! どうやったらイワシスキって聞こえんだよ!!」
イワシスキ……?
「プッ……」
笑いを堪え切れなくなって、あたしは口元に手を当てて吹きだしてしまった。
イワシスキって……。
確かに聞こえなくもないけど……。