イケメンルーキーに恋をした
「あ、さっき、姉ちゃんから電話がありました」
田尾くんの言葉に、ようやく彼の顔を見上げられた。
「今合宿中だって言ったら、姉ちゃん、喜んでました」
そう言って、田尾くんが柔らかく口角を上げる。
「よかったね。お姉さん、本当に嬉しいんだろうね」
あたしも口角を上げる。
「今年は試合に出るのは難しいけど、来年は必ず試合に出るって約束したんすよ」
田尾くんが体を少し動かすと、彼の一重の目がキラリと街灯に光った。
「俺、また試合に出たいです」
「…………」
バスケを心から愛する、彼の眼差し。
それは、誰よりも強いように感じた。
その時、頭に浮かんだのは、未来の田尾くんの姿だ。
それは来年かもしれないし、再来年かもしれない。
コートの中心で、みんなに声を掛けボールをついて走る彼の姿。
次々に得点を上げていき、MVPに選ばれる。
田尾くんを見ていると、そういう想像しかできない。