イケメンルーキーに恋をした
「出れるよ」
あたしが言うと、田尾くんの視線があたしに降りてきた。
「田尾くんは、絶対に試合に出て活躍をする」
「…………」
「だって、今、そういう田尾くんが想像出来たから」
あたしが微笑むと、田尾くんは一瞬驚いたように目を丸めたけれど、すぐにキュッと目を細めて笑った。
「ありがとう、ミニ先輩」
田尾くんが口角をよこいっぱいに引くと、何だか急に恥ずかしくなってあたしは、彼の二の腕をバチンと叩いた。
「ありがとうございますでしょ? 先輩にはちゃんと敬語を使ってよ!!」
クルリと背を向け、足早にその場を去る。
ド、ド、ド、ド、ド、ド、ド、ド。
あり得ないくらい高鳴る鼓動が、田尾くんにバレてしまう。
早くここから逃げないと!!
それなのに、田尾くんはわざわざあたしを追いかけてきて、ピタリと横についた。
「ありがとうございます。ミニ先輩」