イケメンルーキーに恋をした
名前、なんて言ったっけ。
確か1年生で、田尾くんと同じように、今後女バスの中心的存在になるだろうって、さおりが言っていた子だ。
昨日、あのふたり何を話していたんだろう。
どう見てもあの子から告白してる雰囲気だったけど……。
女バスの群れから少し離れて、わざと田尾くんの近くに来ているような気がする。
昨日、田尾くんはあの子に何て言ったんだろう。
「……輩。ミニ先輩」
ジーッとあの女の子を見てると耳元で田尾くんの不機嫌な声がしてハッと振り返る。
「何ボーッとしてんすか」
「……え?あ、ごめん」
「早くそれ下さいよ。俺を殺す気ですか」
眉をギュッと寄せた田尾くんが顎であたしの手におさまる紙コップを指す。
あたしはまた「あ、ごめん」と頭を下げ、田尾くんにコップを差し出した。
あたしなんて、こんな調子なのに……。