イケメンルーキーに恋をした


14時。


昼食を済ませ、ようやく体育館を使える時間になった。


午後になると、ここに合宿に来ている生徒の他に、普通の家族連れもこの施設のアスレチックを利用しに訪れたりしてかなり賑わってくる。


夏休みを全力で楽しむ小学生の楽しそうな笑い声が聞こえる中、部員達は体育館で練習前の柔軟運動を始めた。


その間も、あたしは手に持つファイルで顔を隠して目だけを出し、ジロリと田尾くんを見る。


他の一年生に背中を押されグッと前へ倒れる田尾くんの顔が痛さで少し歪む。


考えなしにグイグイ押してくる男子を振り返り、田尾くんはムッとしたように何かを言っている。


一重だし、表情あまり変えないし、毒舌だし。


一見冷たそうに見えるのに、なんか急に可愛くなったりするからな……。


だからモテるんだよ。


無駄に告白なんかされちゃってさ。




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