イケメンルーキーに恋をした
「何今にも噛みつきそうな勢いで見てんのよ」
「ギャッ!!!!」
ボソリと耳元でささやかれ、思わず酷い声を上げてしまった。
それは体育館中に響き渡り、男女みんなが一斉にあたしを振り返る。
あたしはそっとファイルで顔全部を隠し、肩まですくめた。
「全く……。分かりやすいにも程があるよ、あんた」
あたしのおかしな行動に、さおりが呆れて言う。
「こんなに田尾くんのこと好きなのバレバレなのに、勇気出せないなんて」
「だ、出せるわけないじゃん!! もしそれでフラれたらどうする? あたし、もうマネージャー出来なくなるじゃん」
まだ顔をファイルで隠したまま、さおりに小声で叫ぶように言う。
「あ! 好きなの認めた!!」
さおりがあたしを指差しケラケラ笑う。
あたしは一気に顔に火がついたように暑くなり、毛穴という毛穴から汗が噴き出してきた。