イケメンルーキーに恋をした


ポーッと田尾くんただひとりを目で追っていたら、岩石先輩のチームが得点を入れ、あたしの思考は現実に戻され岩石先輩側に得点を追加する。


そしてまた田尾くんがボールを持って走り出し、先輩チームをうまくかわしてパスをしていた。


順調に試合が進んでいると思いきや、徐々にコート内の雰囲気が悪くなる。


嫌な予感がして慎重にみんなの動きを目で追っていると、やっぱり事は起こってしまった。


田尾くんがメンバーに指示を出し、日野先輩をマークした、その時。


日野先輩は面白くなさそうに首を捻り、試合を放棄してコート内から勝手に出て行ってしまったんだ。


「日野っ!!」


全員の動きが一旦止まり、岩石先輩の声が響く。


その様子を女バスも心配そうに見ている。


あたしはただ、得点板の前で、オロオロするだけ。


またか。と、岩石先輩は呆れて首の後ろを触り、田尾くんもため息交じりに俯いた。




< 169 / 323 >

この作品をシェア

pagetop