イケメンルーキーに恋をした
アスレチック付近では子供たちで溢れかえっているし、日野先輩ひとり探すのにも相当な時間がかかりそうだ。
あたしは額から流れる汗を半袖のシャツでぬぐいながら日野先輩を探した。
「あの、すみません。ウチの部員見ませんでしたか?」
宿舎前を掃除していたおばさんに尋ねる。
おばさんはほうきの手を止めて、首を傾げた。
「さぁ……ここには誰も来てない気がするけどねぇ」
「そうですか……。ありがとうございます」
あたしは深く頭を下げ、またそこから走り出す。
ここにもいないってことはどこ……?
走れば走るだけ、体中の水分が蒸発していく。
空はカンカン照りで、大きく浮かぶ入道雲も太陽から遠く離れている為影すら作ってくれない。
息をするもの困難になるほど、足元のコンクリートから上る熱気が痛かった。
疲れて膝に手をついて前かがみになると、額から横髪を伝って汗が滴り落ちてくる。
あたしは、手の甲で首に垂れる汗を拭った。