イケメンルーキーに恋をした
「キミも女の子なのに、練習に熱心だね~」
突然、頭上でおじさんに声をかけられ体を起こした。
眩しくて目を細めると、そこにいたのは警備のおじさん。
「キミと同じ高校の男の子も、さっき真剣な表情で向こうに走って行ったよ。こんなに暑い中感心感心」
男の子……?
それって、日野先輩のこと?
「その男の子が走って行ったの、いつ頃ですか?」
あたしが早口で聞くと、おじさんは一瞬あたしの勢いに驚いたように目を丸めた。
「あ、ああ……さっきって言っても、10分くらい前かな?」
それを聞いて、あたしはつばをグッと飲み込んで掛け出した。
「ありがとうございます!!」
あたしは走りながら、おじさんを振り返る。
「あ、ちょ、キミ!! ランニングはいいけど、熱中症には気を付けるんだよ!!」
おじさんが、あたしの背中に声を張る。