イケメンルーキーに恋をした


「キミも女の子なのに、練習に熱心だね~」


突然、頭上でおじさんに声をかけられ体を起こした。


眩しくて目を細めると、そこにいたのは警備のおじさん。


「キミと同じ高校の男の子も、さっき真剣な表情で向こうに走って行ったよ。こんなに暑い中感心感心」


男の子……?


それって、日野先輩のこと?


「その男の子が走って行ったの、いつ頃ですか?」


あたしが早口で聞くと、おじさんは一瞬あたしの勢いに驚いたように目を丸めた。


「あ、ああ……さっきって言っても、10分くらい前かな?」


それを聞いて、あたしはつばをグッと飲み込んで掛け出した。


「ありがとうございます!!」


あたしは走りながら、おじさんを振り返る。


「あ、ちょ、キミ!! ランニングはいいけど、熱中症には気を付けるんだよ!!」


おじさんが、あたしの背中に声を張る。




< 173 / 323 >

この作品をシェア

pagetop