イケメンルーキーに恋をした
10分くらい前か……。
日野先輩足速いし、あたしが今から追いかけても追いつけるのかな……。
だけど、ずっとここで待ってたって仕方ないし、行くしかないよね?
毎日毎日筋トレをしている部員が少し走っただけでヘトヘトになるコース。
少しも体力のないマネージャーのあたしが走ったら、秒殺なわけで……。
「はぁ……はぁ……」
すぐに息が上がり、足が重くなった。
施設からも少し離れて、子供たちの声も遠くなり、聞こえるのは木の隙間から聞こえるセミの大合唱。
汗がどんどん蒸発していき、頼りになる水分は自分のつばのみ。
「あっつ……。死にそうだ」
太陽の日差しに刺された肌が、ジリジリと音を出して燃え始めたかのように痛い。
腰に手を当てて歩き、また膝に手をつく。
ダメだ……。
あたしって本当に体力ない。