イケメンルーキーに恋をした


誰かランニングでここを通ればいいけど……。


あたしは無駄な体力を消耗しないように、ただ静かに木の根っこに座っていた。


だけど、今は真夏だ。


何もしていなくても、自然と体内の水分が物凄い速さでなくなり、意識が遠のいてくる。


軽い頭痛がして額に手を持って行くと、びっしょりと汗が手の甲についた。


「……今何時なんだろう」


段々空が茜色に染まって来てる。


練習は5時までだから、もう終わった頃かな……。


誰か、体育館に戻って来ないあたしに気づいて探しに来てくれないかな。


喉が渇いてこんなに意識が薄れ始めたのは初めてで、一瞬”死“も覚悟した。


息も上がってきて、大きな木に体重を預ける。


誰か……。

誰か……助けて……。





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