イケメンルーキーに恋をした
「……村」
ぼんやりと聞こえる人の声。
「……村!神村!!」
人の声と共に、体に冷たい水気を感じた。
薄らと目を開けると、ぼやける視界に何人もの人があたしを覗き込んでいる。
「おい!神村、しっかりしろ!!」
「……先輩?」
やっと出せた声は声にならず、ただ空気が漏れただけだった。
頭から流れ落ちる水。
目に水が入らないように細かく瞬きをして見上げると、田尾くんがあたしにペットボトルの水を大量に掛けていた。
「……田尾くん」
また空気だけの声を出すと、田尾くんは真剣な顔であたしの体を抱え、ゆっくり口に水を入れてくれる。
「……ゲホッ!!」
もう何年も水分を取っていなかったかのように、体が水分を拒否する。
「神村!!」