イケメンルーキーに恋をした


「…………」


「もうここには、俺の居場所はないんじゃないかって、怖くもなった」


そんなことを、思っていたんだ……。


日野先輩は、怖かったんだね……。


「自分でも情けないよ。一年に嫉妬して部活放棄するとか……。バスケ……この世で一番好きなはずなのに……この世で一番、嫌いになりかけてた」


クッ……。と声を詰まらせる日野先輩の肩が小刻みに震えている。


「悪い……神村。こんなことになってしまって」


日野先輩の弱った目が、あたしに向けられる。


あたしは力なく頭を振って答えた。


「俺……ここにいたいよ」


日野先輩の想いが、震えた声に乗ってみんなの心に入って行く。


「好きだから……」


「…………」


「バスケが。みんなが……」


頬に流れる水分は頭から滴る水なのか、それともあたしの涙なのか。


まだ頭がボーっとして、区別がつかない。




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