イケメンルーキーに恋をした
岩石先輩は、日野先輩の頭を激しく撫でた。
ガシガシと音がするほど強く撫でられ、日野先輩の体が大きく左右に動く。
「それだよ、日野」
日野先輩が乱れた髪を触りながら、岩石先輩に目を向ける。
「それが聞きたかったんだよ、俺は」
岩石先輩の表情は見えなかったけれど、声から微笑んでいるのがわかった。
「おまえの居場所がなくなる?んなわけないじゃん。確かに田尾の存在はすげーけど、だからってなんでおまえの居場所がなくなるんだよ」
そう言って、岩石先輩があたし達を振り返った。
「俺ら、刺激し合える、いい仲間じゃん」
岩石先輩が、ニッコリ口角を上げる。
「嫉妬していいんだよ。すげーヤツ見て悔しくなって何が悪いんだ。俺だって田尾に出会ってすげー悔しいし自分が恥ずかしくなる時があるよ」
あたしの後ろにいる田尾くんが、鼻で笑った。
「だけど、それがバネになるじゃん。悔しいから練習するんだよ。だろ?田尾を思う存分踏みつけて高く上り続けるのが先輩じゃん?」