イケメンルーキーに恋をした


「はぁ? 最悪。普通後輩を育てるのが先輩の役目でしょ?踏みつけるって」


ボソリとぼやいた田尾くんだけど、どこか嬉しそうだ。


「まぁ、みんなが楽しくバスケが出来ればそれでいいんだよ」


全て丸く収めるように、陽気に言う岩石先輩。


「明日から、また楽しくバスケをしよう」


岩石先輩がポンと日野先輩の肩に手を乗せると、日野先輩はみんなに深く頭を下げた。


……よかった。

仲直りしたんだ。


本当によかった……。


「神村、大丈夫か? 熱中症?救急車呼ぶか?」


「いえ……。なんとか大丈夫ですよ、先輩」


あたしは岩石先輩に少し微笑む。


「ミニ先輩立てます?」


体を支えてくれてる田尾くんの腕の力が強まる。


あたしは自力で立とうとしたけど、体に力が入らず立ち上がれなかった。


すると、田尾くんは羽織っていた半袖のジャージを脱ぎ、濡れてるあたしの服の上にかぶせ、あたしをお姫様だっこで抱き上げた。


「た、田尾くん。大丈夫だから、立ち上がれなかっただけで自分で歩け……」




< 184 / 323 >

この作品をシェア

pagetop