イケメンルーキーに恋をした
「はぁ? 最悪。普通後輩を育てるのが先輩の役目でしょ?踏みつけるって」
ボソリとぼやいた田尾くんだけど、どこか嬉しそうだ。
「まぁ、みんなが楽しくバスケが出来ればそれでいいんだよ」
全て丸く収めるように、陽気に言う岩石先輩。
「明日から、また楽しくバスケをしよう」
岩石先輩がポンと日野先輩の肩に手を乗せると、日野先輩はみんなに深く頭を下げた。
……よかった。
仲直りしたんだ。
本当によかった……。
「神村、大丈夫か? 熱中症?救急車呼ぶか?」
「いえ……。なんとか大丈夫ですよ、先輩」
あたしは岩石先輩に少し微笑む。
「ミニ先輩立てます?」
体を支えてくれてる田尾くんの腕の力が強まる。
あたしは自力で立とうとしたけど、体に力が入らず立ち上がれなかった。
すると、田尾くんは羽織っていた半袖のジャージを脱ぎ、濡れてるあたしの服の上にかぶせ、あたしをお姫様だっこで抱き上げた。
「た、田尾くん。大丈夫だから、立ち上がれなかっただけで自分で歩け……」