イケメンルーキーに恋をした


「黙ってください、ミニ先輩」


恥ずかしくて田尾くんの首元に顔を埋めると、耳元でとても不機嫌そうな声がした。


「自力で立ち上がれないのに歩けるわけないでしょ」


半ば呆れ気味の田尾くんの声。


「落ちないように、ちゃんと首に掴まっててくださいよ」


ド、ド、ド、ド、ド、ド、ド、ド、ド。


さっき、意識が遠退いて行く時も心臓が痛いくらい速くなったけど、これはまた違う痛さでドキドキする。


田尾くんの温もり、田尾くんの匂い、田尾くんの、筋肉質な体。


全てに緊張して、田尾くんの首筋でギュッと目を強く瞑った。


「痛いところは?」


歩きながら、田尾くんに聞かれ、あたしは「あ、足」と片言で答える。


「そこだけですか?」


「う、うん」


「気分は?」


「悪く、ない……」




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