イケメンルーキーに恋をした
声色を全く変えない田尾くんの話し方、いつからこんなにツボになったんだろう。
冷たい言い方なのに、いちいちときめいて仕方ない。
「ありがとう、田尾くん」
小さくお礼を言うと、彼は「はいはい」となだめるように言って、鼻で笑った。
「どうして、あたしのいる場所がわかったの?」
あたしが聞くと、田尾くんは少し間を開けてなぜか少し悔しそうに話しだした。
「イワシ先輩が、全力でミニ先輩の事を探したんですよ。探しながらすれ違う人に聞き出して情報を集めて、ここまで来ました」
岩石先輩が……。
「ほんっと、頭悪いっすよね、ミニ先輩」
「……なっ!!」
ムッとして顔を上げると、間近に田尾くんの横顔があって、また慌てて首筋に顔を埋めた。
「もう二度と、ひとりで行動しないでください。寿命、縮むから」
ドキン……。
「じゅ、寿命が、縮むの……?」
それは、どういう……。
あたしが聞くと、田尾くんは盛大なため息を吐いてあたしを見下ろす。
すると更に田尾くんと顔の距離が近付いて、今にも唇が触れ合いそうで体が硬直した。
「先輩をこうやって抱きかかえると、無駄な労力使って寿命がが縮まるんすよ」
嫌みを言われまたムカついたけど、あたしはもう田尾くんの首筋から顔を上げなかった。
ずっと、こうしていたい……。