イケメンルーキーに恋をした
この企画は、文化祭が終了するまで一日中手を繋いでいることが条件なんだ。
一日中ずっとふたりくっ付いて、色んな催し物を見て回って……。
それでもし、田尾くんがあの子のこと気にいったらどうする?
これをきっかけに付き合っちゃたりしたらどうする?
あたし、クジ運ないんだってばぁ……。
あたしは肩に何十キロもの重りを乗せられたかのように、ズシンズシンと肩を落として女バスの方へ向かった。
「さおり~……」
半泣きでさおりの隣にピッタリくっつくと、さおりはあたしを引きよせて耳打ちしてくる。
「あんた、田尾くんのことを強く思ってクジ引きなさいよ!絶対あの子に取られちゃダメだからね!!」
さおりはそう言って、田尾くんと同じ番号を引き当てる気満々の彼女を顎でさした。
強く思ったって、あたしクジ運本当にないのに……。
大きなため息をはくと、女バスが順番にクジを引き始めた。
あたしはなかなかクジをひけず、一番最後に回る。