イケメンルーキーに恋をした


「田尾くん!!」


放課後、あたしは部活に向かう前に1年生の靴箱に早回りをして帰ろうとしていた田尾くんを呼びとめた。


大きく手を横に広げ田尾くんの行き場を塞ぐと、あたしの腕に掛けていたビニール傘がブラブラと揺れる。


肩にさがるスクールバックが何度もずれ落ちそうになって何度も肩にかけ直していると、田尾くんは呆れたように頭をポリポリかいた。


「あー……本当、何度来ても……」


「一度でいいから来てよ!! ね? お願い」


迷惑そうにため息交じりに言う田尾くんの言葉を遮って、あたしは彼の腕を掴んだ。


「岩石先輩も田尾くんと話したいみたいだし、見学って軽い気持ちでいいからさ!!」


どう言ったらとりあえず来てもらえるかなと思って、彼の気分が軽くなるように声をかける。





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