イケメンルーキーに恋をした
「何してんすか。ちょっと貸して下さい」
あたしの不器用さに見兼ねた彼が体を半分に折り、あたしからハチマキを奪い取る。
ふたり体を折り曲げたまま。
横を見ると、間近に彼の横顔がある。
手際良く足にハチマキを巻き終わった田尾くんが、ふと、隣のあたしを見た。
ち、近い……。
体を折り曲げているせいで頭に血が上りやすくなっているのに、あまりの緊張のせいでそれが加速する。
田尾くんの一重の切れ長の目が、ジッとあたしをとらえる。
あたしは、彼の左右の目を交互に見て、ドキドキに耐えられなくてサッと体を起こした。
冷や汗を握った手を、ジャージになすりつける。
田尾くんはあたしの不審な行動を見て、理解不能だと言うように首を捻った。