イケメンルーキーに恋をした
スタートの合図をしてくれる男子部員が、口に笛を加えながら聞いてきた。
あたし達3組はコクンと頷く。
足が離れないか最終確認をして、走りやすいように田尾くんの体があたしにギュッと近づいてくる。
そして、田尾くんの手が、あたしの腰に回って来た。
ビクッと跳ねたあたしの体がまた小刻みに震えてくる。
「先輩、早く手ぇまわして下さいよ」
「へぇ?」
腑抜けな返事をして田尾くんを見上げると、「早く」とあたしの手を自分の腰にまわせと顎で指す。
変な汗を握る手をグッと握り、そっと田尾くんの腰に手を回す。
「位置について~。よ~い。ピー!!!!」
合図とともに、あたし達3組は同時にスタートを切った。
走り出すと、あたしの腰に回る田尾くんの手の力が更に強まり、あたしの体を引きよせるように走った。
走りに集中しないといけないのに、激しくぶつかる田尾くんの体にしか意識が行かなくて頭の中が混乱する。
3組の中でトップに出たのは岩石先輩とさおりチームだ。
運動神経のいいふたりは、全く無駄のない走り出スイスイ体育館を走って行く。