イケメンルーキーに恋をした
部員達には見えないように、自分の体を壁にして、確かにあたしを見て笑ってた。
体育館の床で擦った膝がヒリヒリと痛む。
「神村!! 大丈夫か?」
「岩石先輩……大丈夫です。ごめんね田尾くん」
走り寄って来た岩石先輩に微笑み、田尾くんに手を合わせる。
「田尾くん。急いであのふたりを追おう」
「大丈夫っすか?膝、赤くなってますよ?」
「ああ、大丈夫だよ、これくらい。あとでバンソウコウ張ってればすぐ治るから」
あたしは、あやねちゃんのやったことが本当にわざとなのかわからなくて、誰にも言えなかった。
ケガした左ひざが走る度に痛んだけど、それよりもあやねちゃんの行動の方に意識が行く。
あやねちゃんは、あたしが田尾くんのこと好きだってきっと気づいてるよね……?
あたしはすごく邪魔な存在……。
また何かされたりするのかな……。