イケメンルーキーに恋をした


「ごめん、田尾くん……。こんなことまでさせて」


ケガをしたあたしのせいで、結局“棄権”ということになり、文化祭の企画に参加できるのは日野先輩とあやねちゃん達になった。


あやねちゃんは、あたしが運動音痴なのを知ってるからわざとやったのかもしれない。


あたしが田尾くんと一日一緒にいられないように……。


人をこんな風に疑うのはよくないけれど、そうとしか考えられないんだ。


あたしは放課後の保健室で膝の手当てをしてくる田尾くんに伏し目がちに言った。


「いいっすよ。おかげで面倒くさそうな企画に参加せずに済んだんだから」


丸椅子に座るあたしの膝を消毒しながら田尾くんが言う。


西日が差し込んでオレンジ色に染まる、普段は黒い田尾くんの髪。


あたしの膝を見て消毒をしてくれる伏せた田尾くんのまつ毛がとても長い。




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