イケメンルーキーに恋をした
「あんな企画で拘束されるよりは、自由に過ごした方がよくないっすか?」
「……え?」
消毒を終えた田尾くんが、手際良くガーゼを張ってくれる。
大したケガではないのに、張られたガーゼのせいで大袈裟に見える。
「手を繋いでるだけで、別にやることは同じでしょ?」
まぁ……言われてみればそうだけど……。
手を繋げるチャンスなんて、ああいう企画の助けを借りないとないのに……。
「企画に参加して、みんなの見せ物になってまで手を繋ぐとか、俺いやですよ」
後片付けをする田尾くんの視線が、彼の言葉を不安げに聞くあたしに向いた。
「注目を浴びない方が、自由にできる」
そう言って、優しく微笑む。
「先輩も、そう思いません?」
「う、うん……」