イケメンルーキーに恋をした
あたしが口をあんぐり開けると、私服の日高先輩が照れたように後頭部をかいた。
「田尾の様子も気になってさ。友達と遊びに来たんだ」
そう言って、後ろで待っていたふたりの男友達を親指で指す。
「田尾くん、お化け屋敷するらしいですよ。クラスに行ったらいると思います」
そう言って、出来あがったたこ焼きの袋を日高先輩に渡す。
「会いに行ってあげて下さい。田尾くん、きっと喜びますよ」
あたしが言うと、先輩はたこ焼きの袋を少し上に持ち上げ「ありがう」と言って校舎の方に歩いて行った。
そっか。
日高先輩、田尾くんに会いに来たんだ。
いいな。
ああいう先輩と後輩。
田尾くんは、本当に色んな人に愛されてるね。
「美海!! ほら! 注文!!」
日高先輩の後ろ姿を微笑ましく見ていると、クラスメイトに急かされ慌てて接客に意識を戻した。