イケメンルーキーに恋をした
あたしは出来るだけあやねちゃんと目を合わせないようにする。
「もう色々見て回ったんですか?」
「まぁ、見て回ったんだけどさ、この企画ってどうにかならないのかな」
あたしは「うん?」と首を傾げる。
「ずっと手を繋いだままだと何かと不便ださ」
日野先輩はそう言って、繋がられた手を上げて見せる。
「飯を食うにも片手じゃ食いにくいし、お互い行きたい方向が違うしさ……。かなり疲れる」
肩を落とす先輩に、あたしはただ苦笑いを向ける。
あやねちゃんとずっと一緒なんて、疲れそうだよね。
その前に、あやねちゃんのあの怖い性格、人の前では決して見せないのかな。
後輩だけど、もう彼女に対して恐怖心しかない。
「あ!! 田尾くん!!」
急にあやねちゃんが高い声を出して、ひとり掛け出した。
手を離された日野先輩が、「え?」と自分の手を見る。
え……ちょ、手を離したら……。
「はい!!そこのカップル失格~!!」